ここは旧 理学部計算科学科のページです

 

金沢大学の三学域体制への再編に伴い、理学部計算科学科は理工学域数物科学類計算科学コースとなりました。 また大学院自然科学研究科数物科学専攻IIコースも数物科学専攻計算科学コースとなりました。 新しいホームページ http://cmpsci.s.kanazawa-u.ac.jp/CompCourse/ も是非ご覧ください。

 

このページは多くの卒業生やその御家族の利便と計算科学科の歴史の保存のために当時のまま維持されていますので、入試情報や教育内容は当時のもので現在のものとは異なります。 また、教職員の連絡先などは変更されている可能性があります。 御連絡の際には新しいホームページをご確認くださいますようお願い申し上げます。

 

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計算数理学コース紹介 vol.2

計算数理学講座 | 計算数理学コース 1 / 2

4.計算数理とは

計算数理学という言葉はあまり聞かないかもしれませんが、わたしたちはこれを計算科学の基礎にかかわる数学、あるいは、コンピュータを使った数理現象の解明、といった意味で使っています。いかめしい「学」をとって計算数理と呼んだ方が雰囲気が伝わると思います。これとは別に「応用数理」という言い方があります。これは数理科学の応用面を強調した言い方でしょうが、計算数理はとくにコンピュータにかかわりの深い応用数理とも言えるでしょう。

 

計算科学の基礎に直接かかわる数学としては、数値計算の理論を扱う数値解析という分野があります。たとえば、微分方程式にあらわれる微分の計算には極限操作が必要ですが、コンピュータではそれができないため、差分という方法によって近似計算を行います。そのためどうしても誤差が生じます。このような誤差ができるだけ少なく、かつ効率的な計算法(アルゴリズム)を研究する分野です。この差分を考えることを離散化とも言いますが、それにはさまざまな数学的側面があり、その基礎研究も重要です。また、コンピュータを使った数理現象の解明はすでに述べたようにさまざまな形で行われています。

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5.計算科学科での数理科学の基礎教育

どの大学でも理工系学部では1年次に微積分と線形代数を学びます。計算科学科も同じですが、計算数理の観点からの演習が理解を深める役目をしています。

 

微積分はもともと、万有引力の法則の発見とともに始まったもので、自然現象を記述する上でも必須のものです。関数のべき級数表示といった新たな概念や、2つ以上の変数の関数の取り扱いを学び、自然科学・数理科学を学ぶ基礎ができます。一方、線形代数は高校で習うベクトルと行列を発展させたもので、小学校で習う正比例の世界の延長線上にあるともいえます。これも数学や物理だけでなく、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。たとえば、インターネットの検索エンジンとして有名なGoogleの検索結果の順位づけの方法は、線形代数の固有値と固有ベクトルという考え方を基本として、離散数学(グラフ理論)や確率の考え方を総合することによって生まれたものです。

 

コンピュータのプログラムを書いたりアルゴリズムを開発したりするには、数学的な抽象化能力あるいはその基礎となる論理的な思考が何より大切です。高校ではほとんど顔を出さなかった「定義」や「定理」という言葉がよく出てきますが、それは数理現象を正確に表現するための基本的な手段です。計算科学科2年次前半では、数理論理序論・演習という科目があり、そこで論理的な考え方・推論の仕方を身につけます。このような訓練と平行して、コンピュータの使い方からプログラムの書き方、簡単な数値計算について、1年次後半と2年次前半に学びます。また、力学と電磁気学を学ぶことで、物理の基本的考え方を身につけるとともに、数学と物理の親しい関係についても認識されるでしょう。

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6.計算数理コースでの教育と研究

以上の学習を基礎にして、2年次後半から始まる計算数理コースでは、4年次卒業研究や大学院でさまざまなテーマに挑戦できるように、数理科学の基礎を学習します。カリキュラムを見れば、代数、幾何、解析という言葉が並んでいるのに気づくでしょう。高校までは意識することは少ないでしょうが、これらが数学・数理科学の重要な柱になっています。これらの講義と演習がコンピュータの実習も交えながら計算数理の視点から行われます。

 

ここで解析学とは、微積分を厳密化して発展した学問分野で、微分方程式や数値解析は解析学の範疇に入るので、物理学との関係も深い分野です。幾何学とグラフィックスとの関係は容易に想像できるでしょう。また、代数学も計算代数の研究だけでなく、現代の科学技術にさまざまな形で生かされています。たとえば、コンピュータの進歩は大量の情報を瞬時に送ることを可能にしましたが、情報が通信路を通るときに誤りが生じることがあり、それらを訂正することが必要になります。このとき用いられるのが誤り訂正符号と呼ばれるもので、惑星探査船ボイジャーなどの宇宙通信から始まり、CD、ファクシミリ、多重放送など広く応用されています。これは代数学や離散数学を基礎とする符号理論と呼ばれる理論にもとづいており、この符号理論や暗号理論など情報科学にかかわる応用数理も計算数理コースの教育研究の課題の一つになっています。

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7.卒業研究

4年生になると研究室(ゼミ)に所属して卒業研究(計算数理学講究)に取り組みます。各研究室の配属人数は2〜3名の少人数できめ細かい指導ができるようになっています。

 

計算数理学コースでは教員一人一人が研究室をつくり指導を行います。卒業研究の進め方はさまざまですが、多くの場合、基本的な文献の輪講から始まり、適宜コンピュータを用いながらテーマに取り組んでいきます。各教員のくわしい研究テーマについては、計算数理学講座のホームページにある教員一覧表の中の専門分野の紹介ならびに各研究室のホームページをご覧ください。

 

「輪講」とはセミナーの学生全員で一つのテキストを交代で読んでいくことですが、もちろん単に読むのではなく、毎回発表者を決めて、その人がテキストの内容についてくわしく説明していきます。研究室によっては、各人が別々のテキストを勉強することもありますが、いずれにせよ、人前で説明することはそんなに簡単なことではありません。正確で深い理解が必要になります。また、研究室によってはこのような輪講の形式をとらずに、一人一人の研究テーマに向かってマンツーマンで指導を受ける場合もあります。これらの指導を通じて、ものごとを深く理解する方法と自らの問題に挑戦できる基礎力が身についていきます。

 

理解することは単に内容を覚えることとはちがいます。テキストについての研究室での議論を通じて、問題の難しさを実感したり、新たな問題を発見することもあるでしょう。それはセミナーのメンバー全員の問題となるかもしれませんし、一人一人に固有の問題かもしれません。計算数理コースの4年次卒業研究では、このような発見に満ちた時間を過ごしてほしいと願っています。